狂犬病の予防注射について

 毎年、この時期になると狂犬病の予防注射が各地で行われています。
この病気や予防について現在わかっている事を簡単に説明しておきます。

 狂犬病とは?

 A 人と動物両方に感染するウイルス病で、感染すると平均30日くらいの潜伏期間の後、発症します。
 初期は咬傷部位のかゆみや頭痛、発熱など風邪に似た症状が見られます。その後、不安感、狂水症、興奮、麻痺、錯乱などの神経症状が現れ、呼吸麻痺が起ります。
 狂犬病は一度発症すると人も犬もほとんど助からない恐い病気です

 現在、日本では発生していないと聞きましたが予防は必要なのですか?

  平成19年に海外で感染した2名が死亡したのはマスコミでも報道されていましたが、国内での感染は昭和32年以降発生していません。しかし、世界中で毎年約5万5千人が亡くなっていますし、その65%はアジア地区で発生しています。過去52年間、狂犬病の発生が無かった台湾でも、ごく最近、野生動物(イタチアナグマ)での発生が確認されました。
  外国からの動物の出入りは、昭和32年当時よりもはるかに多くなっていますので、いつ日本に入ってきてもおかしくない状態にあります。そのために、日本では犬を飼っている方に予防接種と登録が義務付けられているのです。

 もしも日本で発生しても、また撲滅すればいいのでは?

  50年前に狂犬病予防員、技術員、開業獣医師らの非常な努力と尊い犠牲によって、狂犬病を撲滅する事ができました。
  また、島国で幸い野生動物での発生が無くて、当時は飼育者の協力もあって出来たと言われています。
  もしも、再び発生したら2度と撲滅するのは不可能であろうと言われています。