犬と猫の血液型について
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自己血輸血について
自己血輸血に関して思うこと
現在、人の医療では『同種血輸血』の問題点は認識されていますが、大がかりな設備やそれを扱う人員、準備などが必要なため、『自己血輸血』がなかなか普及していません。
実際に輸血を受ける際に医師から「あなたは輸血を受けることによって、将来的にガンの発生率が上がりますが、承諾して頂けますか?」と説明を受けることは少ないようです。
それは、すでに『同種血輸血』が治療の1つとして当たり前のように行われているからです。
それでは、不必要な『同種血輸血』を減らすためには、どうすれば良いのでしょうか?
私は『自己血輸血』をもっと簡単にできるようにして普及させれば『同種血輸血』を受けるケースは少なくなると考えています。
ただし、『自己血輸血』は『同種血輸血』を否定するものではなくて輸血方法の選択肢の1つと考えて下さい。
昨今、マスコミで報道されている、手術ミスから起こった不幸な医療事故も『自己血輸血』の進歩によって多くは防げると思いますし、救急医療の現場でも出血多量で亡くなる命を減らす事ができると確信しています。
しかし、動物愛護法の改正により動物実験を簡単に行うことができなくなった今我々獣医師が新しい医療技術の開発に積極的に取り組んで行くべき''だと思います。
もちろん、飼い主さまの大切な家族を実験に使って危険にさらしたり安全確実な治療法があるのにもかかわらず、他の治療法を試すことは絶対にあってはならないことです。
あくまでも、従来の治療法では難しい場合の選択肢として新しい治療法を試みるべきだと思っています。
私は過去に獣医学会で『自己血輸血』に関する発表を行って、表彰を受けるなどそれなりの評価を受けましたが、依然『自己血輸血』を積極的に取り入れてくれる動物病院が無いのが現実です。
あと10年足らずの私の残された(臨床)獣医人生は、今まで信頼して支えてくれた飼い主さまたちや、世の中への恩返しのために使いたいと考えています。
これからも、学会への出席などでご迷惑をかけることがあるかと思いますがよろしくお願いします。
南動物病院 院長 南 博文
(参考文献)
Hohenhaus,A.E.(2000):Blood banking and transfusion medicine.
In Ettinger,S,J.,Feldman,E.C.,eds:Textbook of Veterinary Internal Medicine 5th ed.,348-356,WB Saunders,Philadelphia.
高島一昭(2004):臨床における輸血の実際、Medicine(Journal of Small Animal Medicine)Vol6,No.5